日経225ミニの話題を聞き漏らさない為に
九二年には二億八三OO万ドルに回復を見せたが、それでも二年前の半分にも満たなかった。
鴛くべきことではないが、銀行の利益と貸し倒れ準備金とは逆数の関係にある。
仮りに、この準備金を損益計算書から消去してみれば、銀行が強大な収益力を持つことがわかるだろう。
一九八三年以来、同行の純金利収入は年率二・三%の増加、金利外の収入(投資手数料、信託報酬、保証料など)は一五・三%の伸びを示している。
一九九一年と九二年の特別損失準備金を除外して考えると、同行の収益力は、ほぼ一O億ドルだったと見てよいだろう。
銀行の価値は、純資産と継続事業としての予測利益の組み合わせである。
年に買い始めたとき、その前年の同行は六億ドルの利益を上げていた。
Pが一九九Oその年の三O年物国債の平均利回りは約八・五%。
控えめに九%として、一九八九年の利益六億ドルで還元値を求めると、六六億ドルになる。
その後三0年間、年間利益が六億ドルを続ける(増減なし)とすると、同行の価値は少なくとも六六億ドルということだった。
一九九O年にPが買ったとき、彼は一株につき五八ドルを払っている。
発行済株式数は五二OO万株で、時価総額は三O億ドル。
約五五%の下値だったことになる。
もちろん、W株についての議論は、不良貸し付けの問題を考えると、果たして収益力を持続できるのかという点に集まる。
彼は同行株を持つことについて、リスクがあることは知っていた。
Pが買いに入るについての彼の考え方は、次のようなものだった。
「カリフォルニアの銀行は。
大地震という基本的なリスクを負っている。
ローンの借り手に損害を与え、返済に障害が出るリスク。
そして第二のリスクは、構造的なものだ。
事業の縮小、金融上の危機が深まって、レパレッジの高い企業、つまり自己資本に対して借入金の比率が高い企業は、ほとんどすべて危機を迎える。
いかに巧みに運営されていようと、これを逃れられないことがある」今、この二つのことが起こる可能性は低いというのがPの判断だが、しかし、まだもう一つ、目に見えるリスクがある、と彼は吾白う。
「市場での大きな懸念は、西海岸の不動産価格が供給過剰で下がることだ。
そして、その成長の資金を供給した銀行に、巨額の損失を与えることだ。
Wは、その先導役だったから、とくに傷を受けやすいと考えられている」Pは、W銀行が毎年、平均して一二億ドルを貸し付け損のために控除した後に、税引前利益一O億ドルを稼ぎ出していることを知っていた。
彼の計算では、一九九一年の同行の全貸し付け額四八O億ドルの一O%が問題ローンで、そのローンから金利分も含めて、元本額の三O%に・当たる損失が出ると仮定すると、同行の決算はブレーク・イーブン、つまり損得なしということになる。
彼の判断では、そうなる可能性は小さい。
仮りに一年間収入なしでも、それほど悲観すべきものでもない。
「Pでは、われわれは企業を買収する、あるいは新規事業に投資するというときに、一年間利益なし、しかし、それから後は年々増加を続ける株主資本に対して二O%の利益率を続ける、という投資対象があれば喜んで参入する」と彼は言っている。
しかも、その価値の五O%も下で株が買えるというのだから、魅力はたっぷりということだ。
また彼は、「銀行業は惑いビジネスではない。
ところが、悪くなることが多い。
銀行マンは、馬鹿げたことをする必要はないのに、それをやることが多い」と二百う。
彼のいうリスクの高いローンとは、馬鹿な銀行マンが実行するローンであるとしている。
彼がW株を買ったとき、彼は、Rが馬鹿な銀行マンではないというほうに賭けたことになる。
C ・マンガーは、「すべては経営陣への賭けだ。
われわれは、彼らが他の誰よりも問題をより早く、より上手に解決すると考えた」と言っている。
Pの賭けは、よい目が出た。
一九九三年末に、同行の株価は二二七ドルをつけた。
銀行監督当局はRに対して二O億ドルを超える貸し倒れ準備金の積み増しを強制してきたが、それが一O億ドルの過剰準備という結果になった。
彼らは、讐と呼んだ。
「Wの例ほど、当局が間違ったことはない」D&Jのアナリスト、Tは、こう言っていた。
この不必要な貸し倒れ準備金という形をとった過剰な資本(一株当たり一九ドル)を使って、W銀行は、自社株の買い入れ、あるいは大幅な増配などを実行できることになった。
これをCの復PのW銀行に対する入れ込みぶりは、引き続き強まっている。
一九九二年もPは買い増しを実行し、持株は六三O万株、持株比率は二・五%になった。
Pは、FRBの認可を得て、さらに二二%まで買えることになった。
Pは、「私はW株であろうと、何であろうと、推奨をするつもりはない。
ただ、同行はよい企業であり、最高の経営陣に恵まれていて、しかも割安だということだ。
普通、うしたケースでは、よい儲けになるものだ」、と言っている。
「論理的な男は世界に自分を合わせるが、非論理的な男は世界を自分に合わせようと固執する」とは、Jが書いた言葉だ。
「だから、すべての進歩は、非論理的な男によってなされる」というのが彼の結論だった。
とすると、われわれの結論は、Pは。
非論理的な男。
ということになるのだろうか。
そうだとすれば、彼の投資方法は経済の世界に進歩をもたらしていることになるが、私はそのように想定することに何のちゅうちょもない。
近年のグ論理的な。
者たちがやってきたことを見れば、それは最高にうまくいったときでもムラがあるし、悪いときには破壊的な結果を招いたと言ってもよいからだ。
多くの投資家に恐怖感をさえ与えたのは確かである。
資金運用者の聞の区別は、とくになくなってきた。
手聞のかかる基礎的な調査は、コンピュータの群れによって処理され、経営者とのインタビューや実地調査はかブラックボックス。
にとって代わられた。
オートメーションが人間の手の代わりをする。
今や、一般の投資家は金融市場に魅力を感じなくなり、離れていってしまう。
資金運用担当者のほとんどが、顧客のポートフォリオの価値を高めることができないのだから、受け身のインデックス・ファンドに人気が集まるのも無理はないだろう。
過去の数十年間を通じて、投資家は、多くの異なった投資方法に惑わされてきた。
その時々で、小型株、大型株、成長株、優良株、テーマ株、等々の投資方法が成功を収めてきた。
しかし、その時期が過ぎると、これらの方法に従った投資家は、冴えない成果に岬吟することになった。
ところが、Pは例外である。
その。
冴えない。
期間は彼にはなかった。
彼の投資成果は、数多く書かれているように、常に変わりなく優れていた。
世の投資家や投機家が同じように投資法によって痛い目にあっている聞に、彼は、静かに何十億ドルという資産を積み上げてきたのである。
その聞を通じて、企業が彼の道具・手段であり、常識が彼の哲学・理論であった。
彼は、いかにそれを成し遂げたのだろうか。
彼の伝説的な成功物語を知れば、同時に知ることになる彼の投資法の簡明さからすれば、その質問はか九円卓ぜ、他の投資家は、彼の方法を使わなかったのか。
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